モンブラン万年筆 ヘリテイジコレクション ルージュ・エ・ノワール コーラル

最初に取り上げる万年筆は、モンブランのルージュ・エ・ノワール。この万年筆を取り上げたのは、あまり紹介されていないから。もしかして不人気。

f:id:papa_counselor:20210302111557j:plain

おそらく、他のモンブラン万年筆に比べると人気がない。しかし、あまり語られていない"うま味"がある万年筆です。

うま味の秘密はニブにあり。

 

しかし、まずは目につくところから解説。何と言っても最初に視線が行くのは、クリップの蛇。

f:id:papa_counselor:20210302111631j:plain

写真と実物では、圧倒的に実物が良い。写真ではやや下品に感じる方もいらっしゃると思います。しかし、実物は意外に小さく細くて精密。しっかりと造られたモノが醸し出す存在感があります。蛇の目の石は上品にまとめられています。シンプルを求める方は、ブラックを選べば蛇の目に石はありません。また、この蛇のクリップはデザインだけでなく、ポケットに入れた時のクリップもしやすく、基本的な機能も優れている。これは、さすがモンブランか。

 

キャップは樹脂であるが、金属軸との色合いはほぼ同じ。質感からくる違いを感じさせない塗装が施されています。そして、ホワイトスターの色がややクリームがかっていて、良い感じ。大き目のホワイトスターと細軸のアンバランスさが微妙に素晴らしい。

また、キャップサイドに彫り込まれているモンブランの刻印もクラシカルでいい。

f:id:papa_counselor:20210302111701j:plain

 

軸を持った時のバランスは、悪くない。キャップを尾軸にさすことはできません。私は比較的ペン先に近い方を持つタイプ。男性としては小さめの手。親指と人差し指の間にかかる金属軸の重みが程よい。軸が短いと感じるかどうかは、手の大きさやホールドする位置にもよるので一概には言えませんが、私にとっては丁度良い長さ。これより短いと書きにくく感じてしまうかも。

細軸であるが、塗装のしっとり感が秀逸。細軸でも滑る感覚はまったくない。塗装も厚みがあるようで、金属の硬さを感じさせない、程よい握り具合です。

 

そして、極めつけがニブです。撓ります。

f:id:papa_counselor:20210302111759j:plain

ニブ自体は小さめですが、厚みがやや薄いこと、ニブの先端に向かっての絞り込みのラインと、三角形のハート穴が、撓りを演出しているようです。私のニブはEFなため、ニブ先端への絞り込みがより細くなっていることも影響しているかもしれません。ともあれ、このフワフワという撓りは優しくて気持ちがいい。マイスターシュテュックがガチニブである現在、希少な万年筆では。今、売られているエジプトマニアも同様のニブなように見えるので、軸やデザインの違いもあり、かなり心惹かれます。

 

ニブの柔らかさと細軸から、書道で使用する小筆のような感覚です。ちょっと一筆箋、ちょっと日記を書くときなどに、ふさわしい万年筆ではないでしょうか。